電力を表す単位にはVA(ブイエー)とW(ワット)があります。VAを皮相電力といい、Wは有効電力といいます。
VAはV(電圧)とA(電流)の積ですが、純粋な抵抗負荷であれば電圧と電流の位相(電圧のサイン波にたいして電流波形がずれること)がズレないためにVA=Wとなりますが、ほとんどの場合はモーターの様なコイルを使用した負荷やコンデンサを使用した負荷のため、電流の位相は電圧とは一致しません。このためにVA≠WとなりW/VAを力率といいます。
VAは見掛けの電力ともいわれ、実際の電力はWで表します。
白熱電球や電熱器(ヒーター)は抵抗のみで力率は1でVA=Wとなります。
コイルに流れる電流は電圧より90°遅れた位相となり、コンデンサに流れる電流は電圧より90°進んだ位相となります。実際の負荷ではこれが複合的に構成されおり、モータを使用した機器では、力率が0.85程度となります。
また、VA-Wを無効電力といい、電力消費にはならず、電源に戻されます。
しかし、配線には皮相電力分の電流が流れる為、電気系統の機器やブレーカーはVAの皮相電力で設備しなければなりません。
電力会社としては力率が1であれば、有効電力のみを送電すれば良い訳で設備が有効に使われて経済的となります。力率改善が要求されるのはこのためで、モーター等が多く使用される工場などでは、進相コンデンサを受電設備に取付て力率を1に近づけています。 この進相コンデンサに流れる電流はモータ等のコイルに流れる遅れの電流を打ち消す進みの電流で、有効電力には影響しませんが、力率を改善することにより、電気料金で優遇されることもあります。